2025年12月27日(土)~2026年1月4日(日)は休業日とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
2025年12月27日(土)~2026年1月4日(日)は休業日とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
講義の様子
口腔内写真撮影/実技の様子
2024年度は、青森・東京・石川・大阪・兵庫から新しい仲間がJOFに加わりました。
皆さんは、日吉歯科診療所から受け継がれたMTMの理念に共感し、より深く学ぶために参加されています。育成セミナーでは、歯科医師と歯科衛生士が同じ視点で臨床を見つめ直し、チームとして学ぶ姿が印象的でした。
今年は、D.Land前田歯科医院(東京)・ハッピー歯科医院(石川)の二代目院長(承継期)の先生方に加え、沢田歯科クリニック(青森)の澤田祐也先生も新たに仲間入りしました。
交流会では熊谷崇先生から温かいメッセージをいただき、参加者の表情には、次のステップへ進もうとする前向きな意欲があふれていました。
地域は違っても、同じ理念を胸に学び合う姿は、JOFの学びの輪が全国に広がっていることを実感させてくれます。
第1回(都内)
2026/06/07(日)– 06/08(月)
第2回(オンライン)
2026/07/26(日)
第3回(都内)
2026/10/24(土)– 10/25(日) ・初日午前:オーラルフィジシャン育成セミナー
・午後以降:オーラルフィジシャン・チームミーティング
JOFの理念に共感いただけるご友人・後輩の先生がいらっしゃいましたら、ぜひ今回のセミナーをご紹介ください。
新しい世代のオーラルフィジシャンが増えることで、全国の予防歯科の未来はさらに明るくなります。
天満コンセプトP歯科は、科学的根拠に基づいた診断と予防を大切にしながら、患者さんの生活にそっと寄り添う歯科医院です。
マイクロスコープやCTを活用した精密な診断を行い、むし歯や歯周病の“原因”に向き合う治療方針が特徴です。
初診からメンテナンスまで、一貫してリスク評価を行い、再発を防ぐための長期管理を大切にしています。
落ち着いた空間と丁寧なコミュニケーションで、生涯にわたり“歯を守りながら暮らす”ためのサポートを行っています。
はら歯科クリニックは、地域の皆さんに寄り添う“かかりつけ歯科医院”を目指し、予防と根拠に基づいた治療を大切にしています。
むし歯や歯周病が起こる背景を丁寧に振り返り、生活習慣やセルフケアといった“毎日の暮らし”と合わせて改善策を一緒に考えていくスタイルです。
治療後も定期的なチェックやクリーニングで長期的にお口の健康を守り、子どもから大人まで安心して通える環境づくりに取り組まれています。
垂水さだまさ歯科・矯正歯科は、一般治療から小児・成人の矯正まで幅広く対応する総合歯科医院です。
予防とエビデンスを中心に、一人ひとりの生活背景や成長段階を丁寧に考慮した治療計画が特徴です。
歯をできるだけ削らず、健康な状態を長く維持するための“長持ちする治療”を目指し、特に矯正分野では成長発達や咬合を踏まえたプランニングを行っています。
家族みんなの健康を支える温かな歯科医院です。
D.land 前田歯科医院は、東京都で長く地域に寄り添ってきた歯科医院です。
現在は二代目院長となる前田先生が、これまで積み上げてきた信頼を大切にしながら、MTMの学びを医院づくりに取り入れています。
一般歯科から補綴、義歯、クリーニングまで幅広く対応し、患者さんそれぞれの生活に合わせた無理のない予防やメンテナンスを大切にしています。
“次の世代のオーラルフィジシャン歯科医院”として、地域に新しい風を吹き込む存在です。
ハッピー歯科医院は、金沢市で長く地域の皆さんに親しまれてきた歯科医院です。
二代目院長の福村先生は、“なるべく削らず、予防を中心に”という医院のスタイルを大切にしながら、MTMの考えを柔らかく医院に取り入れています。
むし歯や歯周病を“起きてから治す”のではなく“起こさないためにできること”としてとらえ、生活習慣やセルフケアをていねいにサポート。
家族みんなが安心して通える、温かな雰囲気の医院です。
沢田歯科クリニックは、弘前市で“地域の健康をそっと支える”ことを大切にしている歯科医院です。
一般歯科や小児歯科、口腔外科、義歯、ホワイトニングなど多くの診療に対応しながら、むし歯や歯周病の“原因を知り、未来を守る”予防ケアを大切にしています。
唾液検査や口腔内写真などを使って一人ひとりのリスクをわかりやすく説明し、繰り返さないための“無理のない予防”を一緒に考えていきます。
酒田での第64期オーラル・フィジシャンセミナーを修了し、地域に寄り添う予防歯科をさらに育てるために、JOFの新しい仲間として活動を始められました。

JOFチームミーティング2025でひときわ印象的だったのが、ページデンタルクリニック(埼玉県上尾市)副院長・赤倉実里先生の発表だった。
タイトルは「女性の視点によるチームビルディングとMTMの実践」。
4人の子どもを育てながら、パートナーと共に一つの医院を運営し、MTM(メディカルトリートメントモデル)を“自分たちの形”で根づかせてきた、その歩みを語った。
■ 「なぜ病気になる前に教えてくれない?」
患者の一言が、治す医療から予防へ視点を変えた原点
赤倉先生の原点は、研修医のころに出会った患者さんの言葉だった。
「どうして、病気になる前にできることを教えてくれないの?」
その一言が、治す医療から“守る医療”へと視点を変えるきっかけになったという。
とはいえ、当時はまだ予防の実践法も、周囲に共感してくれる環境も少なかった。
オーラルフィジシャンセミナーに参加しても、
「予防は歯科衛生士がやるものでは?」という固定観念が根強く残っていた。
出産を機に一度現場を離れたが、パートナーの開業をきっかけに再び歯科へ戻り、
「自分が歯科医師として予防を担当する」と決意する。
ここから、彼女の再挑戦が始まる。

■ 院長との「価値観の対立」を乗り越え、
「予防と治療は両輪である」という結論に到達するまで
「最初の壁は、パートナーである院長との考え方の違いでした」
治療中心の院長と、予防に重きを置く自分——。
お互いの臨床観がぶつかり合う日々が続いた。
しかし赤倉先生は、繰り返される議論の末に気づく。
「予防と治療は対立するものではなく、一人の患者を支える両輪である」と。
自らが院長の治療を理解し、学び、そして歯科衛生士への橋渡し役としてチームを再設計。その結果、医院は“予防も治療も一体となった総合診療型”へと変わっていった。
赤倉先生が確立したのは、担当歯科医師である自身が患者の口腔リスクを徹底評価し、トリートメントゴールの責任を負う独自のMTMモデルだ。
「MTMが院の幹となり、そこに院長の治療や歯科衛生士のケアが枝葉のようにつながっていく」——その言葉どおり、今のページデンタルクリニックは一本の大樹のように成長している。

■ 離職ゼロを目指す。子育て世代スタッフ9割の医院で、
「ご迷惑をおかけします」を「ありがとう」に変えたチーム文化
チーム再構築の鍵となったのは、“制度”ではなく“安心感”だった。
スタッフの9割が未就学児を育てる母親。仕事・家事・育児が重なり合うなかで、継続できる職場をどう作るか。
赤倉先生はまず、「ご迷惑をおかけします」という言葉を院内で使わず、「ありがとうございます」と言い換えるルールを作った。
休むことを“申し訳ない”ではなく、“支え合えることに感謝する”文化へ。
柔軟な業務体制を導入し、誰が休んでもカバーできる仕組みを整備。
さらに、動画コミュニティーを活用した情報共有で、休んだスタッフもスムーズに復帰できる環境を整えた。
「母親が安心して働ける医院は、患者さんにとっても安心できる医院になる」
そう信じて、一つ一つの仕組みを形にしてきた赤倉先生。その歩みは、家庭と仕事の調和を実現し、質の高い医療を提供する、新しいファミリー経営のモデルケースとして、今後ますます注目を集めるに違いない。

執筆:JOF事務局/伊藤

JOFチームミーティングで登壇したのは、仙台市で開業9年目を迎える「せせらぎ歯科クリニック」院長・川村先生。
仙台駅から車で15〜20分、古い町並みが残る住宅地で、開業当初からメディカルトリートメントモデル(MTM)を診療システムの中核に据えてきたオーラルフィジシャン医院です。
大学では補綴学、とくに義歯を専門として診療・教育・研究に携わってきた川村先生。
転機は、ご自身のお子さんの誕生でした。
「6か月ぐらいで歯が生えてきたときに、ふと『自分がこれまで学んできた義歯の勉強は、この子に対して本当にやりたいことなんだろうか?』と考えてしまったんです」
その違和感が、「治す医療」から「病気にしない医療」への軸足の移動を促しました。
数あるセミナーの中から酒田のオーラルフィジシャン・セミナーを受講し、そこでMTMと出会ったことが、現在のせせらぎ歯科クリニックの原点となります。
OP育成セミナーで掲げた「公約」
――短期・中期・長期、そして最終目標「八木山モデル」
OP育成セミナーの受講時、川村先生は自院の将来像を「目標スライド」として明文化しました。
症例報告や医院紹介に続いて提示されたのは、次のような4つのゴールです。
「熊谷先生の酒田モデルには到底及ばなくても、せめて“八木山モデル”ぐらいはつくりたい。
そのつもりで、みんなの前で“公約”として発表しました」
川村先生は、このスライドを「一度きりの発表資料」で終わらせません。
院内会議や新人スタッフのオリエンテーションのたびに引っ張り出し、医院の進むべき方向を共有する“理念ボード”として活用し続けています。

開業初日から「MTM医院としてスタート」
――内覧会も、チラシも、すべて行動変容デザイン
せせらぎ歯科クリニックがOP育成セミナーを受講したのは、まだ診療所の建物が基礎工事の段階の頃。
つまりこの医院は「途中からMTMに切り替えた」のではなく、最初からMTM医院として開業した数少ないケースです。
こうした「初期接点からの行動変容デザイン」によって、開業1年目にもかかわらず、
サリバテスト実施+MTM導入患者の割合は76.4%に到達。
9年目の現在も、おおむね75〜80%の範囲を維持しているといいます。
母親教室から中学校の授業まで
――地域全体を巻き込む「八木山モデル」への布石
短期目標のもうひとつの柱が、地域への啓蒙活動です。
川村先生は、母親教室や子育て世代が集まる場に企画書を持ち込み、地道に扉を叩きました。
その結果、
と、未就学児〜小学生までの層に対する継続的な健康教育が形になっていきました。
さらに幸運が重なります。目標に掲げていた八木山中学校の校医に就任し、中学生への授業の機会も得ることができたのです。「中学生、とくに中2ぐらいになると、“むし歯菌”“感染症”“カリオロジー”を学問として理解してくれる。小学生とは明らかに反応が違います」
実際に届いた感想文には、
「そもそもむし歯菌が口の中になければむし歯にならないと知って驚いた」
「100年、自分の歯で食事をしたい。自分の意識次第で、それが可能だと分かった」
といった言葉が並びます。
「自分ごと」としての予防歯科を、思春期の子どもたちに届ける——
八木山モデルのコアとなる取り組みが、少しずつ形になってきています。

メンテナンス率と「ピンチを乗り切る力」
――初診制限・コロナ禍・スタッフ退職…それでも舵を戻さなかった理由
一方で、すべてが計画通りに進んだわけではありません。
中期目標として掲げた「初診からのメンテナンス定着率70%」は、現時点では未達成です。
しかし、ここで重要なのは「現在通院している患者集団の質」です。
九年目のデータでは、来院中患者の91.3%が“治してほしい”ではなく“きれいにしてほしい”“管理してほしい”というメンテナンス目的で通院しています。
この数字の裏には、いくつもの「ピンチ」がありました。
このとき、川村先生は「MTMの舵を戻さない」ことを徹底しました。
「MTMができない患者さんは、今は診るべきではない。
定期管理の質を落とさないために、あえて初診を止める選択をしました」
院内への掲示には、
「定期管理の質を落としたくないため、現時点では家族・障害者など一部の方のみ新規受け入れ」といったメッセージを明示。
患者側からすれば、 “自分の歯を本気で守ろうとしている医院”としてのブランドが、むしろ強化されていきました。
興味深いのは、三度目の「初診カット」の場面です。
このときは、院長からではなく、スタッフ側から「初診を止めましょう」と提案が出たといいます。
「これはもう、理念がチームに浸透している証拠だと感じました」
「理念が浸透したチームは、ピンチでも迷わない」
――戦国時代から学んだ、せせらぎ歯科クリニックの教訓
発表の最後に川村先生が紹介したのは、長男が読んでいた歴史読み物
『13歳の君と戦国時代の話をしよう』の一節でした。
三方ヶ原の戦いで、徳川家康は武田信玄に大敗し、命からがら逃げ延びます。
その過程で、多くの家臣が自らの命を投げ出して主君を守り抜きました。
著者はこの場面を、こう解説します。
「家臣たちの中に“徳川家を存続させる”という理念が徹底していたからこそ、
ピンチの中でも優先すべき選択を迷わなかった」
川村先生は、この一節に強く心を動かされたと言います。
「理念がチームに浸透していれば、どんなピンチでも“何を優先すべきか”はブレない。
せせらぎ歯科がここまで来られたのも、そのおかげだと感じています」

KEEP28を共通の理念として
――酒田モデルから、各地の「ローカルモデル」へ
せせらぎ歯科クリニックは、
という、KEEP28を本気で目標に据えた少数のOP医院の一つです。
「私たちは、MTMを手段とし、KEEP28を理念として共有する“チーム”だと思っています。
酒田モデルをお手本にしながら、それぞれの地域で“ローカルモデル”をつくっていきたい。
八木山モデルも、その一つになれればと考えています」
JOFチームミーティングでのこの報告は、「MTMを導入するかどうか」ではなく、
“一度切った舵を、どこまでブレずに切り続けられるか”という、私たち全員への問いかけでもありました。
KEEP28を共通の理念として掲げる全国のOP医院にとって、
仙台・八木山からのこのレポートは、確かな勇気と具体的なヒントを与えてくれるはずです。
執筆:JOF事務局/伊藤