デカゴンが歯科衛生士の患者説明を変える
プラークコントロール主体から生活習慣の対話重視に
当院の歯科衛生士4人全員がママさん歯科衛生士で、子育てをしながら予防歯科を担ってくれています。ママ友や地域の方と関わりで鍛えたコミュニケーション力を生かして患者さんとの関係はとても良好に感じています。その一方で、歯科衛生士の患者説明を耳にするとき、プラークコントロールが主体となり、定期来院するメインテナンス患者さんになるほど、 歯科衛生士の言葉が響いてないのではと不安に思うこともあります。
口腔内の状況が一向に改善しない患者さんに対して、プラークコントロール一辺倒の説明をする歯科衛生士の手詰まり感が伝わってくることもあり、時として「こうして患者さんは離れていくのだな」、とリアルな想像をしてしまいます。
◉予防歯科クラウドサービス機能検討会
MTM診療モデルと予防歯科クラウドで行動変容を促す
このような状況に陥るのは、歯科衛生士に生活習慣病の知識が少ないこと、う蝕と歯周病のエビデンスがアップデートされていないことにあるのは明らかです。それでも、子育てと家事に奮闘しながら、 初心患者の教育に時間がかかるMTMモデルに積極的に取り組む歯科衛生士に向かって、「〇〇セミナーを受講してみたら」「この本を読んでみたら」と頻繁に声をかけするのもためらわれます。歯科医師であり子育て真っ最中の私ですから、 家庭と歯科衛生士を両立させている彼女たちの大変さは 身をもって実感できるのです。
もちろん当院でも歯科メーカーの患者説明ツールは活用していますが、それは画一化された内容のため、患者さんへの歯科衛生士の説明は、なにか教科書を読んでいるように平面的な感じです。これでは患者さんが自分事として予防に取り組む事は難しく、行動変容することも少ないために、歯科衛生士は自分の仕事を面白いと感じる経験を積むことができないと感じていました。
そんなとき参加している予防歯科の勉強会で、「富士通予防歯科クラウド」を知ることになりました。最初は通信大手の富士通がなぜ予防歯科を?と不思議に思いましたが、日吉歯科診療所の熊谷崇先生がクラウドを発案し、現在ではスウェーデンの予防歯科の権威により開発されたデカゴンが主力になっていると知り、喜び勇んで医院に取り入れました。
ところが 現在使っている患者説明ツールやアセスメントツールとの切り替え時期を逡巡しているうちに、定例ミーティングで医院の低成長はメインテナンス患者数のキャンセルとドロップアウトが原因であることがわかりました。
「何かを変えなければいけない」と思いその要因を探っていくと、以前から気になっていた 歯科衛生士のプラークコントロール主体の患者説明に行き着き、患者説明を変えることを決断しました。 歯科衛生士の担当患者に予防歯科クラウドの「問診票」と「デカゴンC & P」を試験的に1ヶ月間利用し、デカゴンを使用した症例発表を院内でおこなって今後の方針を決めることにしたのです。
当院では、 メディカルトリートメントモデルを診療システムとして取り入れているため、3人の歯科衛生士が「検査」「説明」「再評価」の時に、それぞれがクラウドを利用して評価することにしました。
2) Case1.患者データをクラウドで共有した結果
各因子の入力結果に応じ、患者さんと一緒にデカゴンの十角形のレーダーチャートの変化を見られることで、患者さんが自らの行動変容するきっかけになりやすい。
- 説明もエビデンスに基づいてフランクに話すことができ、患者さんとの対話が広げられるようになった。
- ウェブ問診は初診時から生活習慣の内容も聞くことができ、その後のメインテナンスに役に立った。
- 患者さんと目標を決めて一緒に積み重ねていくことが大事だと実感できた
- 今まで患者さんに画像や結果を見せる機会がいかに少なかったかを自覚できた
3)Case2.患者データをクラウドで共有してわかったこと
- どんな患者さんにも動機づけや指導に入りやすい
- フィードバックを行うことで患者さんとの会話が増えた
- 患者さんに歯科医療をもっと身近にできた
目の前の口腔内の状況で判断するのではなく、患者さんに合った最終目標でサポートすることが大切。
◉チェアサイド
患者さんの声
「歯石が思ってるよりついてる」「今晩から実施してみる」「奥さんのも比べてみたい」「磨いてきたのに結構残っている」「この写真送ってください」「 初心から変化も見られたし何を頑張ったらいいかわかってよかったです」「 妻と比べてみたいです」